H27年9月議会

まち・ひと・しごと創生基本方針2015における宇部市まち・ひと・しごと創生総合戦略策定に向けての小さな拠点について
(1)小さな拠点の概念
(2)集落生活圏の単位
(3)地域デザイン、地域点検カルテの策定の取り組み

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H27年9月議会議事録

志賀光法

こんにちは。最後の登壇者となりました新政会の志賀光法です。通告に従いまして一般質問をさせていただきます。
 まち・ひと・しごと創生基本方針2015における宇部市まち・ひと・しごと創生総合戦略策定に向けての小さな拠点について質問をさせていただきます。
 ことしは統計法に基づき、5年に1回実施される国勢調査が行われる年であります。国勢調査は国籍を問わず、日本国内に住む全ての人と世帯を対象にする国の最も重要な統計調査で、人口や世帯の実績を明らかにし、その調査結果は福祉施策や生活環境整備、災害対策などの国や地方の未来をつくるための施策の計画策定など公的な目的にとどまらず、民間企業の経営判断や研究活動など幅広く利用されるものであります。
 また、今回は調査に当たって、初めて全国的にパソコンやスマートフォン等で回答できるようになりました。
 さて、日本の人口は2008年におおむねピークを打ち、既に人口減少社会に突入しています。そして、国立社会保障・人口問題研究所による日本の将来推計人口平成24年1月推計によりますと、このまま特段の対策を講じなければ日本の人口は2060年には約8,700万人、2100年には5,000万人を切ると推計されています。
 また、宇部市においても8月に策定された人口ビジョンの骨子案によりますと、宇部市はことしの8月1日付での人口16万9,602人が、45年後の2060年には3万2,139人減少して13万7,463人に、70年後の2085年には10万人を切るまで減少が進むと予想されています。
 特に、宇部市の北部地域の現状は、小野、二俣瀬、厚東、船木、万倉、吉部の北部6校区全体で平成22年と平成26年を比べると963人減少、8.3%の減で、一番減少率が大きかったのが万倉地域で、1,578人から187人減の1,391人、減少率は何と11.9%、5年間で1割以上減少しています。
 このような北部地域の状況を見ると、今後も5年、10年といった、いやもっとごくわずかな期間でこれまで以上に加速度的に人口が激減していくおそれがあります。
 人口減少問題、特に中山間地域の超高齢化を伴う人口激減は、一刻も早く対応しなければならない課題だと思います。このまま何も対応しないでいると地域社会の基礎的単位である集落の存続が不可能となり、地域の活力が一層低下すると同時に、このことが住民自身の意欲の減退に結びつき、また、対象者が少ないため採算がとれないことから、商業、交通、福祉、医療等生活の基本的部分にかかわる事業者が撤退し、さらに生活上の不便、不利益が増大することになります。
 そのような中、国においては平成26年、昨年の11月28日、平成26年法律第136号まち・ひと・しごと創生法が公布施行されました。
 この法律の第1条の目的規定において、「我が国における急速な少子高齢化の進展に的確に対応し、人口の減少に歯止めをかける」ことと「東京圏への人口の過度の集中を是正し、それぞれの地域で住みよい環境を確保」と法律に明記し、そして12月にはまち・ひと・しごと創生総合戦略が閣議決定されました。
 その創生総合戦略においては、地方に安定した雇用を創出する、地方への新しいひとの流れをつくる、若い世代の結婚・出産・子育ての希望をかなえる、時代に合った地域をつくり、安心なくらしを守るとともに、地域と地域を連携するという4つの基本方針が設定されました。
 そして、ことし6月30日に閣議決定されたまち・ひと・しごと創生基本方針2015には、ローカル・アベノミクスの実現に向けてという副題がつき、また地方創生の深化という言葉も加わり、4つの基本方針ごとに具体的な政策も盛り込まれ、私自身は地方創生の前進と受けとめさせていただいているところです。
 特に、4つ目の基本方針、時代に合った地域をつくり、安心なくらしを守るとともに、地域と地域を連携するにおいては、小さな拠点の形成については集落生活圏の維持として、集落生活圏という新たなキーワードも入り、小さな拠点のイメージが想像でき、地域デザインの策定等、具体的な取り組みも記載され、これまで中山間地域の活性化について取り組んできた一人として、また中山間地域に居住する一人として、宇部市が策定する宇部市まち・ひと・しごと創生総合戦略に具体的に小さな拠点の形成について明記され、そして、さまざまな施策が展開され、宇部市の中山間地域の人口減に少しでも歯どめがかかり、中山間地域が創生されることを期待するものであります。
 そこで、質問いたします。
 まち・ひと・しごと創生基本方針2015における宇部市まち・ひと・しごと創生総合戦略策定に向けての小さな拠点について。
 (1)小さな拠点の概念。
 (2)集落生活圏の単位。
 (3)地域デザイン、地域点検カルテの策定の取り組み。
 以上で、壇上の質問を終わります。

久保田市長

志賀議員の御質問にお答えをいたします。
 御質問、まち・ひと・しごと創生基本方針2015における宇部市まち・ひとしごと創生総合戦略策定に向けての小さな拠点について。
 第1点、小さな拠点の概念、第2点、集落生活圏の単位についてのお尋ねですが、これらは関連がありますので、一括して答弁をさせていただきます。
 平成26年12月に閣議決定された国のまち・ひと・しごと創生総合戦略の中で示されている小さな拠点は、基幹となる集落に住民の生活に必要な機能やサービスを集約して、周辺集落とのネットワークを持たせるものです。
 そして、この小さな拠点において各種の生活支援サービスを維持することなどによって、心豊かなコミュニティーの形成を図る必要があるとされています。
 また、平成27年6月に閣議決定されたまち・ひと・しごと創生基本方針2015の中では、小さな拠点の形成に向けた取り組みを行う場合、土地利用や施設配置に係る取り組みにとどまらず、集落生活圏において必要な生活サービスの提供や収入を得るための事業が、将来にわたって継続できるようにすることが重要であるとされています。
 本市においても、現在策定中の宇部市まち・ひと・しごと創生総合戦略の中に、生活機能や福祉サービス機能を有する小さな拠点づくりを位置づけ、中山間地域の住民が安心安全で心豊かに暮らし、これからも住み続けたいと実感できるとともに、行ってみたい、住んでみたいと思えるような魅力ある中山間地域づくりを進めていくこととしています。
 この小さな拠点でつながれた周辺集落のエリアが集落生活圏と位置づけられており、本市では小学校区を集落生活圏の単位と考えています。
 第3点、地域デザイン、地域点検カルテの策定の取り組みについてですが、国のまち・ひと・しごと創生基本方針2015においては、今後の地域のあり方、事業の取り組み方向について、集落生活圏単位で地域住民が主体的に参画し、地域の将来ビジョンを盛り込んだ地域デザインを策定し、事業に着手することが望ましいとされています。
 また、地域デザインは今後もその集落で暮らすために必要な、みずから動くための見取り図でもあり、策定の際には地域の現状や展望を整理する地域点検カルテを作成するとされています。
 本市では吉部校区において、地域の将来像を見据えて地域住民が主体となり策定した吉部の夢プランの作成を支援しており、現在も計画の実現に向けて地域と行政が協働で取り組み、地域の活性化が進んでいるところです。
 また、北部6校区においては、誰もが安心して暮らしていくための地域包括ケアシステムの構築や、地域資源を生かし地域の活性化を図るための住民主体の会議やワークショップの運営を中山間地域・保健福祉支援チームが支援をしているところです。
 今後はこれまでの取り組みを継続、発展させ、集落生活圏すなわち小学校区単位での合意形成を図り、地域点検カルテを活用して地域診断を行いながら、将来ビジョンなどが盛り込まれた地域計画の策定を支援していきます。
 本市としては、この地域計画に基づき、小さな拠点づくりを促進し、地域資源を活用した多様な地域社会の形成を目指します。
 以上で、私の壇上での答弁を終わります。

志賀光法

御答弁どうもありがとうございました。それでは質問席から再質問なり、要望をさせていただきます。
 今回質問しました小さな拠点についてです。持続可能な地域づくりを推進する小さな拠点ですが、確認したかったことが2点あります。
 まず1点目、小さな生活圏の単位ですが、小学校区と明確に御答弁されました。
 実は最近、国、県の財政状況が大変厳しい状況になることから、コミュニティーの単位を中学校区というふうに位置づけられることが多くなったように見受けられます。
 今議会でも提案されていますが、小野中学校と厚東中学校の統合問題が議案として提案されておりますが、中学校がなくなるという地域の不利を考えると、この辺が確認したかったところでございます。
 もう1点はその対象地域であります。小さな拠点については国土交通省が小さな拠点の政策を遂行しております。その対象地域は、離島であるとか過疎地域、半島、豪雪地帯、いわゆる法律で指定された地域であります。宇部市においては、楠地域が対象になるところでございます。
 まち・ひと・しごと創生総合戦略の小さな拠点については、昨年10月に策定された総合戦略において、また、6月30日に閣議決定されました2015ローカル・アベノミクスの実現という副題のついた基本方針についても対象地域あるいは要件について、また、7月31日に明治大学の小田切教授が出されました小さな拠点についてという冊子にも、対象地域あるいは要件は、実は規定されておりません。
 そこで、お伺いさせていただきます。今後地域デザインを策定した地域であれば、小さな拠点とみなされ、新型交付金などの国からの支援策が受けられるのでしょうか、確認をしたいと思います。
 よろしくお願いします。

片岡総合政策部長

お答えいたします。
 国の地方創生予算である新型交付金につきましては、現段階で約1,080億円を確保するという情報は把握しておりますが、現段階においては平成28年度の概算要求が発表されたばかりでございます。
 今後、関係省庁の予算を含め、極力獲得できるよう動向を注視していきたいと考えております。
 以上です。

志賀光法

ありがとうございます。
 ただいま御紹介いただきました新型交付金1,080億円は、国が2分の1ですので、総額では2,160億円の事業費になるかと思いますが、これはこれまで補助メニューになかった取り組み、先駆性のある取り組みや既存の事業の隘路を発見し打開する取り組み、地方創生の深化の裾野を広げる取り組みとか、これまでなかったものに出していこうというものでありますので、どうか策定していただければその支援金がおりるものだろうと私は理解をさせていただいております。
 それでは、続けて質問をさせていただきます。2点目の地域デザイン、地域点検カルテの策定の取り組みについてですが、御答弁の中で北部6校区においては誰もが安心して暮らしていくための地域包括ケアシステムの構築や、地域資源を生かし地域の活性化を図るための住民主体の会議やワークショップの運営を中山間地域・保健福祉支援チームが支援をしているところですと御答弁されておりますが、その活動内容について詳しく御説明いただければと思います。
 よろしくお願いします。

清中北部総合支所長

お答えいたします。
 会議やワークショップの実施・運営に当たりましては、中山間地域・保健福祉支援チームが北部6校区の人口、高齢化率などの現状や将来推計などのデータ、また会議等の進行・運営のサポート、他都市の先進事例の情報提供などを行い、支援を行っているところでございます。
 以上です。

志賀光法

ありがとうございます。
 もう既に、地域デザインを策定しているように私は受けとめさせていただきました。いろいろ実は、質問したいことはたくさんあるのですが、最後に、問題点あるいは要望をまとめてさせていただこうと思います。
 中山間地域における小さな拠点、集落生活圏の形成については、壇上でも申し上げましたが、待ったなしの状況です。中山間地域にとっては、待ったなしの状況です。分母が小さいだけにUIJターンとか若い世代の人口流入で、地域は大きく変わります。早く取り組めば早く取り組むほど劇的に変わっていく可能性があると思います。
 しかしそれには、宇部市のまち・ひと・しごと創生総合戦略の取り組みをしてもらわなくては、その実現は不可能かと思います。それも、国・県・市そして地域が一体となって総力を持って取り組まなければ解決はできない、実現不可能だろうと私は思っております。
 御答弁の中で、今後の取り組みとして、これまでの地域支援員などをしてもらっている取り組みを継続、発展させ、集落生活圏すなわち小学校区単位での合意形成を図り、地域点検カルテを活用して地域診断を行いながら、将来ビジョンなどが盛り込まれた地域計画の策定を支援していきますと御答弁されていますが、御答弁の中のこの地域計画、実は国のまち・ひと・しごと創生総合戦略では、先ほど御紹介しましたけれど、地域計画のことを地域デザインという言葉であらわしています。
 また、県のまち・ひと・しごとの素案では夢プランとなっております。また小さな拠点は、国の戦略、宇部市の骨子案では小さな拠点となっておりますが、県の素案ではやまぐち元気生活圏という言葉になっております。これから宇部市が策定するという地域計画、いわゆる地域デザインは恐らく県の人的支援もいただきながら策定することになるだろうと思いますが、それは地域計画なのか、夢プランなのか、地域デザインなのかわからないのではないですか。
 どうか、本案ができるときには、言葉を取りまとめることができたら、そうしていただきたいという、これは要望にさせていただきます。
 2点目ですが、宇部市が10月策定を進めておられる宇部市まち・ひと・しごと創生総合戦略の骨子案には、小さな拠点という言葉は記載されていますが、小さな拠点の形成など具体的な取り組みが実は入っておりません。10月には間に合わないかもしれません。
 ぜひとも、具体的な取り組みを入れていただかないと新型交付金はもらえないと思います。10月には間に合わないかもしれませんけれど、これから取り組みをしていただき、具体的な小さな拠点の形成など、具体的な取り組みをぜひ入れていただきたいと思います。
 そして、重要業績評価指標(KPI)の項目についても、骨子案にはお試し移住体験参加者数と中山間地域への移住・定住相談数の2点が掲載されております。
 行ってみたい、住んでみたい、そして、これからも中山間地域に住み続けたいと思う魅力ある中山間地域をつくるにはやはりKPIの項目に、できたら地域計画になるのか、地域デザインになるのか、夢プランになるのかわかりませんけれども、その策定件数も入れていただきたいと思います。これは要望とさせていただきます。
 最後に、宇部市のまち・ひと・しごと創生総合戦略の策定、そして、その取り組み、施策によって、中山間地域の未来を切り開く小さな拠点が希望の拠点になることを強く念じまして、私の質問を終わります。どうもありがとうございました。
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