H27年 月議会


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H27年6月議会議事録

同報無線(農村情報連絡施設)の代替施設について
(1)農村情報連絡無線の活用状況と施設の現状
(2)北部地域での地域情報伝達施設の整備

志賀光法

皆さん、おはようございます。新政会の志賀光法です。
 通告に従いまして、1項目、同報無線(農村情報連絡施設)の代替施設について質問いたします。
 なお、以下、農村情報連絡施設については、同報無線と呼ばせていただきますので、よろしくお願いいたします。
 「限界集落」そして「過疎」、この2つの言葉、どちらも私は好きな言葉ではありません。できれば避けたい、できれば使いたくない言葉です。
 限界集落という言葉は、社会学者の大野晃氏が高知大学人文学部の教授時代の1991年、平成3年に最初に提唱された概念で、集落の65歳以上の占める割合が50%を超えた状況のことを指したもので、大野氏によると、批判を覚悟でわざと限界という厳しい言葉を使ったと言っておられます。
 過疎という言葉につきましては、今から約50年前、お隣の島根県、当時の旧美濃郡匹見町の大谷武嘉町長が、昭和40年代に急激な人口流出に陥った町の状況を過疎という言葉を使用し、国会で切実に町の状況を訴え、過疎対策の立法化を働きかけ、過疎地域対策緊急措置法、いわゆる過疎法の成立に貢献された大谷武嘉さんが使った言葉であります。
 しかし、限界集落と過疎という言葉は、ともに私と同様に、当事者側からはその言葉を使うことに反発、批判が高まり、限界集落という言葉については、現在、総務省、国土交通省、農林水産省の最新の公式文書ではこの言葉は用いられておらず、「基礎的条件の厳しい集落」あるいは「維持が困難な集落」といった言葉で表現をされております。
 ちなみに過疎法は、昭和45年以来、4次にわたる議員立法として制定、平成22年には6年間の時限立法として、その後、東日本大震災の発生による過疎対策事業の遅延が想定されることから、平成24年には過疎地域自立促進特別措置法の一部が改正され、現行法の有効期限が5年間延長され、平成33年3月末までとなりました。
 現在、過疎地域は全国で1,719市町村、山口県におきましては12市町がその指定を受けていて、萩市、長門市、美祢市など3市3町が全指定、下関市、山口市など6市が一部指定、宇部市も一部指定でありますが、旧楠地域が過疎地域の指定を受けているところでございます。
 さて、宇部市の北部地域は人口減、少子高齢化の進行、高齢者独居、高齢者夫婦世帯が増加し、基礎的条件の厳しい、いわゆる集落機能の維持が困難な集落が出始めております。住みなれた地域でこれまで同様に安心安全に、そして、心豊かに健康に生活していくためには、これまで以上に住民相互の助け合い、集落の広域化での連携など地域コミュニティーの再生、再構築が必要だと思います。また、生活していく上で必要な身近な情報の収集、伝達、共有も重要になってくるのではないでしょうか。それも、より狭い地域での情報収集、情報伝達、そして情報共有が必要となるのではないでしょうか。
 現在の宇部市のアナログの同報無線は、昭和63年に宇部市と旧宇部市農協が共同で、災害時の地域住民の安全と行政広報、農林業の営農指導情報等の提供を目的に、国の補助を受け、西岐波、宇部、厚南、厚東、二俣瀬、小野の6地区をエリアとして無線放送を開始したものであります。その運用につきましては、電波法により、その情報伝達内容、運用は限定されていますが、今日まで災害防災情報また営農指導情報等を中心に情報発信、運用され、その大きな役割を果たしてきました。
 しかしながら、基盤設備は設置後26年が経過し、その耐用年数を大きく超えて、現在では修理部品や代替部品もない状況で、故障内容によっては修理不能となり、突然放送ができなくなるおそれが出てきております。
 また、戸別受信機につきましても、老朽化によるふぐあいにより苦情も多く、その修理などの対応もできない状況になっているそうです。
 現設備は昭和48年に整備された防災無線網が更新されたもので、それ以前は有線放送として昭和42年から今日まで長きにわたり、その地域住民に対してさまざまな情報を提供してきました。昭和42年から今日までの47年間の間、北部地域においてはさまざまな災害等が発生しております。その都度、同報無線は地域住民の安心安全の確保にその大きな役割を果たしてきました。
 昭和47年7月に発生した豪雨災害においては、小野地区では土石流が発生しました。当時は、山津波と言っておりました。住宅が約100メートル流され全壊はしましたが、地元消防団の早期出動に、また、消防団員の安全で安心な活動に役立ちました。
 また、平成21年7月豪雨災害においては、まだまだ記憶に新しいとは思いますが、小野地区で土石流が2カ所、二俣瀬・厚東地区では国道2号が冠水し、7時間近く国道が通行どめになりましたが、地元消防団等の早期出動による適切な避難誘導などが行われ、人的被害が出ることはありませんでした。
 また、この災害では多くの農地が災害を受けましたが、農地災害の把握や災害復旧に同報無線はその大きな役割を果たしました。地域住民にとって、この同報無線は安心安全の確保、営農活動をしていく上で、また日常生活をしていく上では、なくてはならない存在であります。
 そのような中、ことし2月に開催された同報無線の運営主体であります山口宇部農業協同組合の理事会、その後の同報無線運営委員会において、平成28年、来年の3月31日をもって同報無線事業の今後のあり方について関係機関と協議を開始する旨の報告があり、そして、3月には山口宇部農業協同組合地区別総代協議会でも同様の報告がありましたが、その報告の内容は、施設の更新については数億円単位の費用が見込まれ、利用者に新たな多額の負担を求めることになることから、現行施設での情報発信を継続することは困難と判断し、廃止を含め関係機関と協議を開始するとの内容に、総代の皆さんはその内容に驚き、その内容は一気に地区内に広まり、地域に激震が走りました。
 これからさらに高齢化が進行し、集落の広域連携が必要になってくる宇部市の北部地域では、住民相互の助け合い等による安心安全の確保や地域活動、コミュニティー活動を円滑に行うために、集落等の日々の身近な情報共有が重要であります。
 そこで、お伺いをいたします。
 同報無線(農村情報連絡施設)の代替施設について。
 1、農村情報連絡無線の活用状況と施設の現状。
 2、北部地域での地域情報伝達施設の整備。
 以上で、壇上での質問を終わります。よろしくお願いいたします。

久保田市長

志賀議員の御質問にお答えをいたします。
 御質問、同報無線(農村情報連絡施設)の代替施設について。
 第1点、農村情報連絡無線の活用状況と施設の現状についてのお尋ねですが、山口宇部農業協同組合が運営する農村情報連絡無線は、農作物の病害虫や家畜の伝染病、営農指導及び農協の諸行事の情報伝達のほか、火災等による消防団の招集や選挙のお知らせなどの行政情報、また、地域コミュニティー活動に係る情報の提供にも活用されています。
 しかしながら、昭和63年10月の開設時点で3,006世帯あった個別利用者は、組合員の減少や、携帯電話やパソコンなど情報機器の普及等に伴い、平成26年度末時点では1,389世帯まで減少しています。
 施設の現状については、親局が防災情報無線の基地として市役所本庁内に、また、遠隔制御局が農村情報連絡施設として農協本店及び市内6つの支店に設置されています。その他、霜降山に中継局があって、いずれの施設も耐用年数を大幅に超えており、修理部品や代替部品の調達も非常に困難な状況になっています。
 このような状況を踏まえて、山口宇部農業協同組合におかれては、農村情報連絡無線の廃止も視野に検討されているところです。
 第2点、北部地域での地域情報伝達施設の整備についてですが、人口減少による過疎化や少子高齢化が深刻な課題となっている北部地域において、防災、防犯、高齢者の見守りなど安心安全な地域づくりや地域コミュニティー活動を円滑に進めるために、地域内における情報伝達の仕組みづくりは重要なものであると考えています。
 情報伝達の仕組みとしては、IP告知放送システムなど、ICTを活用したさまざまな情報伝達システムが開発されているところです。しかしながら、施設の整備については多額の設置費用が発生することから、利用者負担等も含めて、北部地域における情報伝達手段のあり方について、専門家を交えた検討の場を設けて、今年度中には具体策をまとめたいと考えています。
 以上で、壇上での答弁を終わります。

志賀光法

どうも御答弁ありがとうございました。それでは、質問席から若干の再質問あるいは要望をさせていただきます。
 壇上でも申し上げましたが、同報無線につきましては、有線放送の時代からしますと、47年間も地域住民にさまざまな情報を提供してきました。情報提供放送は、朝、昼、晩、主に3回行われていますが、特に重要な情報提供のある朝と夜の放送につきましては、ほとんどの地域住民がその放送を逃さず聞いております。それだけ地域にとりましては重要なもので必要な情報が流れてくるわけでございます。
 北部地域での地域情報伝達施設の整備の必要性につきましては、御答弁にもありましたが、人口減少による過疎化や少子高齢化が深刻な課題となっている北部地域において、防災、防犯、高齢者の見守りなど安心安全な地域づくりや地域コミュニティー活動を円滑に進めるために、地域内における情報伝達の仕組みづくりは重要なものであると考えると御答弁されていて、改めてその重要性についてはお伺いはしませんが、続いての答弁によりますと、やはり施設の整備については、多額の設置費用が発生するというふうにも御答弁されております。
 実は私、昨年の8月に広島豪雨災害発生を受け、9月に同様の質問をさせていただいております。そのときについてはデジタル化での同報無線ということでございますので、かなり多額の費用がかかるという御答弁をいただきました。
 3年前の試算という前置きはありましたが、その整備費用につきましては、システム、そして中継局3カ所、屋外拡声器を24カ所、戸別受信機を各世帯に7万カ所設置した場合には、約55億円かかると答弁されました。
 また、答弁の中では、新たな情報伝達の仕組みとしましては、IP告知放送システムなどICTを活用したさまざまな情報伝達システムが開発されているところで、特に九州の南部地域、台風被害が毎年のように発生する九州南部を中心に、簡易無線機を活用した低廉なシステムの活用が実は進んでおります。55億円、幾ら高額な整備費をかけても、いずれまた更新時期がやってくるわけでございます。できるだけ設備費用を抑える必要があると私も思っております。このように民間が新たなテクノロジーを開発しております。できるだけ低廉な施設で、また、より多くの市民の安心安全が図られたらと思っております。
 この簡易無線機を活用したシステムですが、実は簡易無線機は無線従事者免許が不要で、申請だけで使えるもので、その整備費用も運用費用も低廉に抑えることができるそうです。出力にもよりますが、半径15キロメートル以内であれば、どんな高い山、木があっても確実に、しかもはっきりと放送が届くそうです。校区内単位の設備であれば十分な施設であると思います。また、グループ放送ができたり、双方向でのやりとりもできることから、高齢者の見守り等の安全を図るためにも活用できます。地域の皆様に大きな安心を与え、また、福祉の面からも期待ができるシステムではないでしょうか。
 そこで、お伺いいたしますが、御答弁の中に、北部地域における情報伝達手段のあり方について、専門家を交えた検討の場を設け、今年度中には具体策を取りまとめたいと御答弁されておりますが、専門家を交えての検討の場とはどういう構成メンバーで、また、壇上でも申し上げましたが、突然使用できなくなる可能性があります。できるだけ早い時期にと思っておりますが、その設置時期についての2点をお伺いいたします。

清中北部支所長

お答えいたします。
 構成メンバーといたしましては、庁内の関係課を初めICTの学識経験者及び情報伝達システムの関連企業、現在、同報無線を運用しております農業協同組合や地域住民の方などを想定しており、この設置については速やかに検討を開始したいと考えております。
 以上です。

志賀光法

ありがとうございます。構成メンバーには現在運用されております山口宇部農業協同組合、また、地域住民も加わるということ、ICT、そういう設備関係の専門家も加わるということ、また、できるだけ早い時期というお答えをいただきました。期待をしております。
 実は、国土交通省は、ことしの6月5日に、国土審議会計画部会に今後10年の国づくりの指針となる新たな国土形成計画の最終案を提示いたしました。その中で人口減少に対応するために、個性あふれる地域づくりを目指し、地域間の対流を目指す。特に農山村では小さな拠点を広げ、地方移住を活発にすると明記をされております。その小さな拠点は、人口減少している集落でも、人が安全安心に住み続けられるような環境整備が必要だと思います。そうでなければ、決して移住先として選ばれることはないでしょう。地域情報伝達施設の整備につきましては、できるだけ早い時期に検討の場を立ち上げて、私の意に沿う、地域住民の意に沿うような対応をしていただければと思いまして、以上で全ての質問を終わります。どうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございました。
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