H20年9月議会

1.持続可能な農業を確立する為、肥料等の高騰、環境保全型農業への対応としての農地の土壌診断の必要性の認識と対応について


2.宇部市立小・中学校の適正配置について
(1)宇部市立小・中学校の適正配置検討協議会の協議の進捗状況と今後のスケジュールは
(2)宇部市立小・中学校の適正配置についての協議については統廃合のシミュレーションから考えるのではなく小中一貫教育や通学区のフリー化など宇部市立
小・中学校の教育内容の充実と魅力と特色ある学校づくりについての議論からはじめるべきと考えるがご見解は
(3)宇部市立小・中学校の小規模校の問題点・課題点を宇部市教育委員会として現状どのように捉えているか、また改善・解消方法として適正配置として安易
に統廃合へと進む前に、現段階で出来る対応、周辺校との連携授業などの対策を行うべきと考えるが連携授業等、小規模校の問題・課題の改善解消策が実施出来ないか

H20年9月議会議事録

志賀光法

皆さん、おはようございます。新政会の志賀光法です。通告に従いまして一般質問を行います。今9月議会では、農業問題と教育問題、2点についてお伺いいたします。
 まず、1点目の農業問題についてです。
 原油や穀物などの国際価格の高騰により、ガソリンのみならず食品、調味料など、あらゆる生活物資も値上がりし、ただでさえ厳しい家計を直撃しています。特にガソリンなどの燃料価格の高騰は、漁業関係者、運送関係者がその影響をもろに受け、一斉休漁などのこともあって、このことはマスコミも大きく取り上げていて、関係者、関係団体だけの対応ではどうにも解決できない事態に陥っているところです。このようなことは農業に従事する者にとっても同様であります。窒素や燐安や塩化カリなどの国際価格が高騰し、肥料が大幅に価格上昇しています。また、肥料だけでなく燃料や生産資材などの価格上昇で農業経営努力を超えるコスト高に対して、漁業や運送業関係者同様、経費上昇分を農産物への価格に転嫁することはできるはずもなく、解決策は国などの行政機関に頼るほかありません。早急な緊急対策を多くの農家が求めています。
 特に、稲作農家については、現在の米価、米の価格はもともと採算に見合う価格ではなく、現在の燃料や肥料の価格上昇は次年度への生産意欲を失わせ、このままでは離農する農家が出てきて、耕作放棄地がさらに増加することが懸念されます。今は当たり前のように新鮮な野菜を使った料理や国産米を使ったおいしい御飯が各御家庭の食卓に上っていると思いますが、それは当たり前のことではなくなるかもしれません。米、野菜づくりで、おいしく、病害虫に強く、そして生産性を上げるには土づくりが大事です。植物にとって必要な栄養素は窒素、燐酸、そしてカリであることは皆さんも御存じのことであると思います。窒素は植物にとって最も大事な養分で、葉、茎、根などを生育させ、養分の吸収を促進させるなどの働きがあります。燐酸は結実、実をつけることを促進します。カリは暑さ寒さなどの環境の抵抗性や病害虫などに対する抵抗性を強めます。
 現在ほとんどの農家は土づくりの肥料については、この3要素が入った混合化学肥料を使用しておられます。ひょっとしたら不要な肥料分までも土にばらまいているのかもしれません。化学肥料は水溶性が高く、不要な物は水に溶け川に流れてしまいます。北部地区の場合は、その不要な肥料分は水路から川へ、そして市民にとって大切な水がめである小野湖に流れ込むことになります。不足している肥料分は何か、農産物をつくるのに適した土であるかを判断するには土壌診断をすることが必要です。肥料が高騰している中、生産コストを下げる、また環境に配慮した自然に負荷をかけない農業を推進する意味でも、土づくりに必要な肥料分だけを施肥、土に与えることができたらと思います。
 そこでお伺いをいたします。質問の1、持続可能な農業を確立するため、肥料等の高騰、環境保全型農業への対応として、農地の土壌診断の必要性の認識と対応についてお伺いをいたします。
 質問の2点目は、教育問題についてです。
 公立小中学校の規模は学校教育法施行規則などで12から18学級が標準規模とされています。しかし、少子化の進行により、児童生徒数が急減しているにもかかわらず、学校数は余り大きく減少していません。このため、現在では標準規模に満たない学校が、公立小学校で約5割、公立中学校では約6割を占めていることが一般に言われています。
 事実、財務省が昨年実施した調査によりますと、全国で児童生徒数はピーク時の40%以上減少しているにもかかわらず、小学校は9%、中学校は3.5%しか減少しておらず、学級数が標準規模の12から18学級に満たない学校が約半数に上っていることが判明したと発表しました。しかし、現状は地方自治体の財政状況の悪化による行財政改革の名のもとに、公立小中学校の統廃合は粛々と進んでいることもまぎれもない事実であります。
 読売新聞社の調査によりますと、2005年度全国に3万2,570校あった公立小中学校のうち、少なくとも1,117校が3年から5年後に減少する見込みで、小学校については2万2,240校が今年度中には211校減少し、中学校は1万150校が今年度中50校減少することがわかったそうです。
 また、今後の小中学校の再編については、全市町村1,820のうち436自治体が再編を実施、または検討中として、計画どおりに進んだ場合、全国の公立小中学校30校に1校が姿を消す計算になると公表しています。
 学校規模が小さいと子供一人一人に目が行き届いて丁寧な指導が行える反面、クラスがえなどができないことから子供同士の関係が固定化し、何か問題が起きるとこじれやすいという面があります。また、運動会などの行事や部活動なども停滞しがちで、小規模校の子供は優しいけれど積極性に欠けるなどの指摘もあります。ただ、実際の問題として学校統廃合という時点になると、地域の実情により大きな困難を伴うことが多く、そう簡単に進むものではありません。子供の通学が不便になることはもとより、登下校の安全確保、母校がなくなることに対する保護者や地域住民の反発など、多くの問題が出てくることになります。適正配置の方針を出したにもかかわらず、地元に説明に入ると反対が強く統廃合が一向に進まないというところが多いとお聞きをしています。
 そのような中ではありますが、財務省は平成17年度に527校が221校に統廃合された結果、年間170億円の財政削減につながったという試算結果を公表し、財政制度等審議会は文部科学省に対して、公立小中学校の統廃合を積極的に進めるよう求めました。文部科学省は財務省の圧力に屈したのか、ことし6月16日、学校規模の基準を見直すことに決めました。見直しは実に35年ぶりのことで、中央教育審議会に対して作業部会を設けて、来年夏をめどに具体的な方針を検討するよう要請しました。宇部市でも小中学校の適正配置について検討が始まっているだけに、中央教育審議会、文部科学省の今後の動向については大変気になるところです。
 さて、宇部市の公立小中学校の学校規模の現状ですが、12学級の標準規模に満たない学校が現在小学校で8校、中学校で4校あり、複式学級となっている小学校が3校あります。特に北部地区は少子高齢化が顕著で、小規模校特有の問題も多く、これまで教育委員会は特認校就学制度等の実施などの対応を行っていただいておりますが、複式学級の解消、問題点の解決には至ってない状況であります。また、市街地においても小規模校となった学校が存在するという事実、今後もふえるという予想もあり、校舎の耐震化や建てかえ問題のこともあり、宇部市の公立小中学校の適正配置について方向性を示す時期であり、ことし2月に宇部市立小中学校適正配置検討協議会が設置され、協議が進んでいるところで、子供を持つ親のみならず、多くの市民が関心を持っているところです。
 検討協議会の内容は、地元新聞にも大きく紙面を割いて報道されています。7月23日の3回目の検討協議会の記事で、「ワーキング部会で統廃合のシミュレーション」という文字を見つけた保護者、市民の皆さんは驚き、不安、不満を感じた方が多かったのではないでしょうか。
 そこでお伺いいたします。質問の2点目、宇部市立小中学校の適正配置について。
 1点目、宇部市立小中学校の適正配置検討協議会の協議の進捗状況と今後のスケジュール。
 2、宇部市立小中学校の適正配置についての協議については、統廃合のシミュレーションから考えるのではなく、小中一貫教育や通学区のフリー化など宇部市立小中学校の教育内容の充実と、魅力と特色ある学校づくりについての議論から始めるべきであると考えますが、御見解は。
 3、宇部市立小中学校の小規模校の問題点・課題点を宇部市教育委員会として現状どのようにとらえているか。また、改善・解消方法として、適正配置として安易に統廃合へと進む前に、現段階でできる対応、周辺校との連携授業などの対策を行うべきと考えるが、連携授業等、小規模校の問題・課題の改善解消策が実施できないか。
 以上、3点お伺いし、壇上での質問を終わります。

藤田市長

志賀議員の御質問にお答えいたします。
 御質問の第1、持続可能な農業を確立するため、肥料等の高騰、環境保全型農業への対応としての農地の土壌診断の必要性の認識と対応についてということでありますが、農地の性質が農作物の生育に大きな影響を与えることや、有効な施肥技術の指導に役立てるため、専門知識を持つ県の農林事務所や全国農業協同組合連合会が、各生産組織等の要望をもとに無償で土壌診断を行っているところであります。
 本市においても、持続可能な農業経営を維持するため農地の土壌診断は必要であると考えており、特に水道水源である小野湖周辺では環境への配慮も重要であるとの認識から、水稲の不耕起湛水による無農薬無化学肥料栽培の実証を行っているところであります。
 また、環境へ配慮するとともに、消費者ニーズの高い安心・安全な農産物や施肥経費を削減するため、市内全域において減農薬、減化学肥料による農産物の栽培を促進しているところであり、エコやまぐち農産物認証制度申請助成やエコファーマー育成助成を実施しているところであります。
 以上で、私の壇上の答弁を終わります。

前田教育長

志賀議員の御質問にお答えいたします。
 御質問の2、宇部市立小中学校の適正配置について。
 第1点、宇部市立小中学校の適正配置検討協議会の協議の進捗状況と今後のスケジュールはについてでありますが、宇部市立小中学校の適正配置につきましては、本年2月に宇部市立小中学校適正配置検討協議会を設置し、これまで3回の協議会を開催しているところであります。
 協議の進捗状況につきましては、第1回目に学校の現状や今後の児童生徒数、学級数の推移について説明し、第2回目に各委員それぞれの立場からの適正配置についての御意見を伺いました。第3回目は、平成26年度に通常学級数が11学級以下の学校15校を、適正配置の検討対象校として専門部会を設置し、今後協議していくこととなりました。専門部会は協議会委員6名で構成し、この15校を小中学校別、北部・市街地別に分類して、地域性を考慮しながらそれぞれの学校の利点、問題点を検討することとしております。
 次に第2点、宇部市立小中学校の適正配置についての協議については、統廃合のシミュレーションから考えるのではなく、小中一貫教育や通学区のフリー化など、宇部市立小中学校の教育内容の充実と魅力と特色ある学校づくりについての議論から始めるべきと考えるが、御見解はということについてでありますが、現在、宇部市立小中学校適正配置検討協議会において、よりよい教育環境をつくることを目的として、各校の適正配置について、教育的な視点等から幅広く検討していただいているところであります。
 次に第3点、宇部市立小中学校の小規模校の問題点・課題点を宇部市教育委員会として現状どのようにとらえているか。また、改善・解消方法として、適正配置として安易に統廃合へと進む前に、現段階でできる対応、周辺校との連携授業などの対策を行うべきと考えるが、連携授業等、小規模校の問題・課題の改善解消策が実施できないかについてでありますが、小規模校につきましては、学校全体の人間関係ができやすくまとまりやすいこと、児童生徒の活動の場が多いこと、地域の特色、人材を生かした多様な体験活動ができることなどのよさがあります。一方、児童生徒数が少ないことにより、人間関係が固定化する傾向があること、お互いに切磋琢磨する場が少ないことなど、教育的な配慮を必要とする部分もあることが課題と考えております。
 現在、小規模校では地域の特色を生かした魅力ある学校づくりに努めており、特認校においては、校区外の児童生徒を受け入れることにより学校の活性化を図っております。
 また、楠地域の吉部、万倉、船木小学校では、連合宿泊学習、水泳記録会を3校合同で実施して、新しい人間関係をつくるなど、小規模校の課題の解決に向けて取り組んでいるところであります。
 教育委員会としましては、今後とも小規模校がそのよさを生かした取り組み、課題克服に向けた取り組みが実施できるよう支援してまいりたいと考えております。
 以上でございます。

志賀光法

御答弁どうもありがとうございました。
 それでは、自席から再質問並びに要望をさせていただきます。
 まず、1点目の農地の土壌診断についてですが、まず確認をさせてください。小野湖の水質の状況について環境基準等をクリアしているのかどうかお伺いをいたします。

井本環境部長

お答えいたします。
 小野湖のCODにつきましては、平成17年度から環境基準を達成しております。環境基準は3ミリグラムパーリットル以下でございます。しかしながら、トータル窒素及びトータル燐につきましては県の暫定基準をオーバーしております。数値で言いますと0.54ミリグラムパーリットル、燐につきましては0.022ミリグラムパーリットル以下でございます。
 以上です。

志賀光法

ありがとうございました。
 COD、化学的酸素要求量については環境基準をクリアしているものの、全窒素、全燐についてはクリアできてないという状況でありました。以前、宇部市環境審議会では、小野湖の水質について、農業が負荷を与えている可能性があると見解が出されたことがあります。このことは検証がしっかりとなされておりませんが、もし本当であるとしたら、土壌診断等を実施して農地に不必要な肥料を与えないような対応をとるべきだと考えております。
 御答弁では、関係機関で無償で土壌診断していただけると言われましたが、だれでも無償で行っていただけるものではないと思っております。民間機関に土壌診断を頼めば、1検体当たり1万5,000円程度かかるそうです。できましたら、農地の土壌診断にかかる経費の補助制度の新設を御検討いただきたいと思います。
 また、関係機関に要望いただきまして、安価にだれでも土壌診断ができるような体制づくりについても御検討いただけるよう、2点について要望をさせていただきます。
 それで次の質問ですが、御答弁の中で水稲の不耕起湛水による無農薬無化学肥料栽培の実証実験を行っていると言われましたが、それはどういうものなのか詳しくお聞かせください。

西山経済部長

不耕起湛水につきましては、小野地区の棯小野の水田6アールをお借りをいたしまして、市の方で実証の実験を行っております。これにつきましては、田んぼを耕さない、それから雑草を生やさないために冬の間に水田に水を張ると、こういう形で不耕起湛水による無農薬、無化学の肥料栽培の実証実験ということで行っております。非常に狭い面積ではございますけれども、ただ具体的に市の職員がやっておりまして、除草の作業であるとか、有機肥料である米ぬか等の投入という形でやっております。残念ながら生育の状況については非常に苦労しておるというところで、これを例えば全市的に広げるとか、小野全体に広げるとかいうことになりますと、手間暇の問題と収量が非常に少ないということもありますので、なかなか厳しいのではないかというふうに考えております。

志賀光法

ただいま御説明されましたように、市の職員が実証実験を行っておられるということ、大変な御労苦があったということ、また今後もあるということでございますが、どうか、収量が上がらないということもございますが、これが実際小野地区で広がっていき、また北部地区で広がっていくような方策もあるように、他市では個人的に行っていらっしゃる方もありますでしょうから、今後も御検討、研究されまして広がっていくような実績を上げていただきますように、これはエールといいますか、送りたいと思います。よろしくお願いいたします。
 それでは、2点目の宇部市立小中学校の適正配置についてお伺いいたします。
 県内でも他市では検討が進んでいると聞いております。基本方針の策定、実施計画の策定状況、適正配置の進捗状況を調査しておられればお聞かせください。

前田教育長

現在の適正配置の問題にかかわる動きにつきましては、教育委員会内部のみで検討されている市もございますけれども、本市と同じように協議会形式で市民の意見を聞きながら進めておられる市もあります。さらに協議会で取りまとめられた内容を地元に説明された市もありますけれども、さまざまな意見があったと伺っております。
 以上でございます。

志賀光法

ただいま御答弁がありましたが、よく議員が聞く他市の状況については、市の名前がよく出るわけですが、市の名前が出ませんでした。また気を遣われたのか、慎重になられたのかわかりませんけど、この問題は非常に慎重に行わなければならないということ、非常に難しい問題ということを私は認識させていただきました。それだけ難しいのだろうと思います。
 ですから、宇部市も検討を行っていただいておりますが、基本計画策定の段階からしっかりと市民の方に情報提供をしていただくと同時に、意見も伺っていくという手法が絶対に必要だと思います。一気に策定をして、地元に説明に入っても大変難しい問題が起こる可能性があると思います。
 先ほど、宇部市の進捗状況についてはお伺いをいたしましたが、一般市民がこの協議の進捗状況を知るに当たっては地元の新聞報道か、あるいは情報公開制度を利用するか、私ども議員が質問をして、それを聞くかぐらいしかないと思います。残念ながら宇部市のホームページ、教育委員会のホームページ、学校教育課のホームページを見ても、この検討協議会の名前すら見つかりません。今後情報公開をしていく必要があると思いますが、情報公開についての基本的なお考えをお伺いいたします。

前田教育長

協議会は公開を原則としておりますので、その協議内容につきましては、ただいま言われたようなことを含めまして公開する方向で検討してまいりたいと考えております。
 以上でございます。

志賀光法

ありがとうございました。
 先日、宇部市におきまして第4次の総合計画策定に当たりましてまちづくり講演会が行われました。皆さん御存じの元三重県知事北川さんの講演でありました。その中で市は、行政は積極的に情報を公開していく必要がある。情報公開というもの、積極的に公開するということで情報提供が必要だろうということ。そしてさらに情報共有、そしてさらに進んで情報共鳴ということに持っていく必要があると言われました。本当にこれについては積極的な情報公開が必要と思います。できましたら議事録等、当日配付されました資料等すべて公開をしていただいて、さらにそれから意見を求めるというふうな体制もとっていただきますように、これは要望とさせていただきますので、しっかりと御検討をいただきますようにお願いをいたしまして質問を終わります。
 ありがとうございました。

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