H19年3月議会質問項目

1.限界集落への手厚い行政サービスの提供について
 ①宇部市が限界集落の状況をどの程度把握しているか、また、その対
   策についてどのように考えているか
 ②生活の足の確保(コミュニティーバスの運行等の交通体系整備支
   援)
 ③生活道の整備(市道認定等による維持管理支援)
 ④営農活動への支援(市独自の農業支援)
2.スポーツ振興計画の策定について
 ①スポーツ振興計画の必要性の認識
 ②策定に向けた審議会の立ち上げ     

平成19年3月議会議事録

志賀光法

皆さん、こんにちは。新政会の志賀でございます。通告によりまして個人質問をさせていただきます。
 まず、質問の第1点は、限界集落についてでございます。限界集落への手厚い行政サービスの提供についてであります。
 限界集落とは、過疎化などで人口の50%が65歳以上の高齢者になり、冠婚葬祭など社会的共同生活の維持が困難になった集落のことで、この衝撃的な言葉を目にしたのは、恥ずかしながら私はことしの3月2日の全国農業新聞の第1面の記事でした。
 私自身非常に衝撃を受けましたが、また、それと同時に暗い気持ちになってしまいました。限界集落という言葉は、消極的なイメージで、まるで地の果てみたいな場所であるようで、私の小野の将来イメージである香り豊かな湖畔の里とは大きく違うことになります。
 限界集落とは、長野大学の大野晃教授が高知大学教授時代の1991年(平成3年)に最初に提唱した概念で、中山間地や離島を中心に、過疎化、高齢化の進行で限界集落が急速にふえており、このような状態となった集落では、生活道の管理である道普請、溝普請ができない。農地や山林の管理ができない。祭りなどのイベントや冠婚葬祭などができないなど、共同体としての機能が急速に衰えてしまい、やがて消滅に向かうとされていて、共同体として生きていくための限界として表現されています。
 全国農業新聞の記事を紹介しますと、国土交通省がことし1月に全国の過疎市町村に対する調査結果では、対象となった6万2,271集落のうち住民の半数が65歳以上となっている限界集落は7,873集落に上り、全体の1割を超えていて、前回の調査の7年前の間に消滅した集落は191集落、半数以上が高齢化や人口流出などによる自然消滅で、集落跡地は荒廃、やや荒廃としていて、住民がいなくなった後の土地の管理も問題化しています。
 また、今後10年以内に消滅、いずれ消滅するとみられる集落も2,641集落で、前回よりふえているという内容です。言葉自体衝撃的でしたが、記事の内容を読んでさらに衝撃を受けました。
 また、ウェブ上のウィキペディア百科事典によりますと、限界集落に次ぐ状態、55歳以上の人口比率が50%を超えている場合を準限界集落と表現され、また、限界集落を超えた集落は、超限界集落から消滅集落へと向かうと説明されています。
 集落の機能、存在価値を考えてみますと、農地、農道、林道、維持補修、枝打ちや下刈りによる農林土木、環境保全の機能、冠婚葬祭などの生活全般における相互扶助の福祉的機能などがあります。これらの集落の機能がなくなると、周辺地域には当然耕作放棄地がふえ、森林が荒れることで保水力がなくなり、下流域での渇水や洪水の危険性が高まります。里山が、またふるさとの緑が崩壊していくことになります。
 これらの機能を行政が税金を使って補完、代替しようとすれば、今まで数字として表に出てこなかったコストは想像を絶するものとなります。
 宇部市の高齢化で戸数が少なくなっている集落を消滅させないためには、計画的な定住策など手厚い行政サービスの提供が必要と考えます。
 そこでお伺いをいたします。
 1、限界集落への手厚い行政サービスの提供について。
 その1、宇部市が限界集落の状況をどの程度把握しているか、また、その対策についてどのように考えているか。
 その2、生活の足の確保(コミュニティーバスの運行等の交通体系整備支援)。
 その3、生活道の整備(市道認定等による維持管理支援)。
 その4、営農活動への支援(市独自の農業支援)についてお伺いをいたします。
 2点目は、スポーツ振興計画についてです。
 日本のスポーツ施設の数は、生涯スポーツ雑誌などによると、学校の体育館やプールなどを含めると全国で24万カ所に上り、国民約5,000人に1カ所の割合ですから、数だけ見ればスポーツ先進国に比べても立派なものです。
 また、スポーツが好きという人も大人の7割を占めます。しかし、週2回以上体を動かす人は1割しかいません。5割を超すと言われているオーストラリアやニュージーランド、また3割から4割を占めると言われているアメリカやカナダなどに比べて大きく見劣りがします。
 平成国際大学の佐伯教授によると、日本人は仕事に追われるなどスポーツ先進国とは生活環境の違いがあるものの、そもそも日本にはスポーツ政策と呼べるものがなかったからだとおっしゃっています。
 スポーツは、楽しむというものではなく、明治時代に野球やサッカーなどが伝わってきたとき、富国強兵の国策もあって精神修養や体を鍛えるという考えが強かったからです。
 国は、昭和36年にスポーツの振興に関する施策の基本を明らかにし、もって国民の心身の健全な発達と明るく豊かな国民生活の形成に寄与することを目的とするスポーツ振興法を制定し、平成12年9月にはスポーツ振興計画を策定しました。
 山口県においても、国のスポーツ振興計画との整合性を図りながら、山口県の実情に合ったスポーツ振興計画「スポーツ山口きらめきプラン」を平成13年に策定し、県はその計画に沿った各施策を現在展開中です。
 国が制定したスポーツ振興法は、単に心身の健全な発達を図ることだけをうたっているだけではなく、例えば、同法第4条第3項には、都道府県及び市町村の教育委員会は、その地方の実情に即したスポーツの振興に関する計画を定めるものとしています。
 つまり、国は、地方自治体に対して実情に合ったスポーツ振興の計画を策定することを明確に責務として定めています。
 また、同法には、策定したスポーツ振興計画に基づいた具体的プランの作成、施設経営計画、事業予算の審議を専門的、総合的に行うスポーツ審議会が市の裁量で設置できるとしています。
 県内の状況を御案内しますと、このような審議会等を設置している市町は周南市、下関市などです。周南市は、スポーツ振興計画の素案を策定し、現在、パブリックコメントを実施しています。下関市、岩国市もスポーツ振興計画策定に向けて準備をしています。宇部市では、平成16年12月議会で我が会派の兼広議員の質問でスポーツ振興計画、スポーツマスタープランの策定について、教育長は、今後検討してまいりたいと御答弁をされています。
 また、一昨年の12月12日付で山口県スポーツ振興審議会が各市町村教育委員会教育長あてに、スポーツの振興について協議会の設置とスポーツ振興計画の策定及びその計画に基づいた振興事業を推進していただきたいという内容の要望書も出されています。
 そこでお伺いをいたします。
 1、スポーツ振興計画の策定について。
 その1、スポーツ振興計画の必要性の認識。
 その2、策定に向けた審議会の立ち上げについてお伺いをいたします。
 以上で、壇上の質問を終わります。

藤田市長

志賀議員の御質問にお答えをいたします。
 御質問の第1、限界集落への手厚い行政サービスの提供について。
 第1点の宇部市が限界集落の状況をどの程度把握しているか。またその対策についてどのように考えているかというお尋ねでありますが、限界集落とは、少子高齢化の進行や人口流出などにより、住民の50%以上が65歳以上の高齢者となり、社会的共同生活の維持が困難となった集落と認識しております。
 全国においては、限界集落への対応やコンパクトシティーの考え方など、さまざまな議論があることから、本市においても今後調査研究してまいりたいと考えております。
 なお、小野、二俣瀬、厚東、船木、万倉及び吉部校区のいわゆる中山間地域において、高齢化率が50%以上の自治会数は昨年4月末現在で全162自治会のうち11.7%に当たる19自治会となっております。
 次に、第2点の生活の足の確保(コミュニティーバスの運行等の交通体系整備支援)でありますが、本市におきましては、現在、小野を中心とした北部地区と船木以北の万倉及び吉部地区の二つの地区において廃止路線の代替バスを運行しておりますが、この市北部地域における生活交通につきましては、今後とも継続して安定した運行を確保する必要があると考えているところであります。
 平成19年度におきまして、これからの本市における公共交通のあり方について調査研究を行い、ガイドラインとして生活交通活性化計画を関係バス事業者及び住民、利用者代表の方々の意見もいただきながら策定する予定にしているところであり、その中でより効果的で効率的なコミュニティーバスの運行方法につきましても検討してまいりたいと考えております。
 次に、第3点の生活道の整備(市道認定等による維持管理支援)ということでありますが、お尋ねの生活道路につきましては、幅員が狭いため市道に認定することは難しいと判断されます。また、地元の皆様方の身近な生活道路の草刈りにおきましては、地元自治会やボランティアの皆様の御理解と御協力をいただいている状況であります。
 なお、お尋ねの経済的支援につきましては、これまでにも多くの要望もあり、また、地域によってさまざまなケースがあるかと思われますので、今後これらを含め総合的に支援のあり方について調査研究してまいりたいと考えております。
 次に、第4点の営農活動への支援(市独自の農業支援)ということでありますが、高齢化の進んだ限界集落においては、農業の継続的実施が困難となり、耕作放棄地が増加することが懸念されるところであります。このため各個人で行う農業経営を見直し、集落内で各年齢等に応じて農作業等を役割分担する集落が一体となった営農を展開する必要があると考えており、農事組合長会議や集落座談会等を通じて集落営農の推進を図っているところであります。
 また、農用地借受奨励助成金により農地の貸借を支援するとともに、特定法人貸付事業等を実施しているところであります。今後ともこれらの助成制度等を活用し、営農活動の支援を行ってまいりたいと考えております。
 以上で、私の壇上の答弁は終わります。

前田教育長

志賀議員の御質問にお答えいたします。
 御質問の2、スポーツ振興計画の策定について。
 第1点、スポーツ振興計画の必要性の認識。第2点、策定に向けた審議会の立ち上げについてでありますが、これらは関連がありますので、一括して答弁させていただきます。
 本市のスポーツ振興につきましては、第三次宇部市総合計画の中で、生涯スポーツ活動の推進、競技スポーツの推進、団体の育成と指導者の養成、スポーツ施設の整備を柱とし、財団法人宇部市体育協会や宇部市体育指導員協議会などの関係団体との連携により、スポーツ、レクリエーション活動の充実を図ってきたところであります。
 スポーツ振興計画の必要性につきましては、施策を実行していく上での具体的な方向性や指標などを明確にするため必要なものと認識しております。
 これらのことから、計画の策定及び審議会の設置につきまして検討してまいりたいと考えております。
 以上でございます。

志賀光法

どうもありがとうございました。それでは若干の再質問と要望をさせていただきます。
 まず、限界集落への行政サービスの手厚い提供ですが、宇部市が昨年11月に策定した宇部市中山間地域づくり指針によりますと、中山間地域の目標指標として、人口、農家数、耕作面積を現状維持を目標とする。また、減少を食いとめるとしています。
 また、市長答弁の中には、高齢化率が50%以上の集落、全162自治会のうち19自治会がそういう状況にあるということですが、その内容についてもう少し詳しく御説明をお願いします。

芥川総合政策部長

19自治会の詳細ということでございますが、世帯数が10戸以下という自治会は12自治会ほどございます。また、高齢化率から見ますと、高齢化率90%以上の自治会が一つ、80%から90%未満というところが三つ、70%以上80%未満、それが1自治会、60%以上70%未満というのが4自治会、50%以上60%未満というのが10自治会となっております。
 以上でございます。

志賀光法

ありがとうございました。私もその資料をいただいております。この資料によりますと、世帯数、人口、そして、高齢者人口、高齢化率が載っているわけですが、この年齢層ていうのがちょっとはっきりわかりませんので、この数字だけは何とも言えませんが、それにしても大変な限界集落という概念で言われてるような集落があるのではないかと危惧をしております。
 小野についてだけ見れば、5自治会ありまして、私が承知している自治会では、もう既にその土地を離れて市内に住まれている方もいらっしゃいます。非常に残念なことであります。
 この限界集落の概念は、今日超高齢化でございます。65歳以上ていう定義、これはどうかと思います。例えば、女性であれば、もう80歳以上の平均年齢、男性でも80近い年齢に達しているわけですが、その辺については今後いろんな形で議論されていくでしょうが、私のこれは個人的な見解ですが、限界集落という定義につきましては、中心市街地から20キロ以上離れていて、世帯数は10戸以下、そして、70歳以上の人口比が50%以上が限界集落ではないかと思います。5年後、10年後が本当に消滅する危険性がある集落だと思いますが、そこでお伺いいたしますが、行政として自治会を運営していくに当たり、自治会の限界をどの程度と考えているのか。非常に難しい質問になりますが、また、この高齢化率が50%以上の19自治会の状況をどのように受けとめて、またどのような対策を考えておられるのか、お答えをお願いいたします。

芥川総合政策部長

集落が維持できる条件ということだと思います。その条件としまして、今言われましたように、集落を構成する人々の年齢構成またその面積、地形などで異なるのではないかと、一概には言えないのではないかというふうに考えております。
 また、集落の維持につきましては、そこに住んでおられる方々の主体的な意思というものが重要であるというふうに考えておりますが、全国的に見ますと、集団移転という方法で行われているところもございますし、再生を望まれているところ、また現状維持でいいというところなどさまざまございますので、それらを含めて今後調査研究してまいりたいというふうに考えております。
 以上でございます。

志賀光法

ありがとうございます。私は、大事なことは、高齢化率が高い自治会については、5年後、10年後、さらに20年後ぐらいをシミュレーションしながら現状の問題点とか洗い出して早目に対応していくことが必要だと思います。
 ちょっと御案内を申し上げますが、限界集落への支援については、京都の綾部市では、市役所から25キロ以上離れ、65歳以上の高齢化率が60%以上、世帯数が20戸未満の水源地域に位置する5集落を対象に、U・Iターン者への定住対策、都市との交流、特産品の開発などへ支援を行うという条例を昨年10月に制定し、来年度の4月からていいますか、ことしの4月から施行されるようでございます。
 中山間地域が持っている貴重な多面的機能を維持発揮させるためには、行政の手厚いサービスが必要と考えますので、条例制定に向けた対応をぜひお願いしたいところでございます。
 それでは、次の2点目の生活の足の確保についてですが、来年度、生活交通活性化計画を策定し、効果的で効率的なコミュニティーバスの運行方法を御検討いただけるということで大変喜んでいる次第でございます。予算書を見ても300万円ぐらいの予算がついてるようでございますが、早急な交通体系の整備をしていただきますようにお願いを申し上げます。
 北部地域は、急に交通弱者となられます。先日も近くの方の御主人が亡くなられまして、本当に急なことで交通弱者になられるという可能性が多々ありますので、生活の足となるべき交通体系の整備は必ず必要でございます。一番近くのバス停に行くまで、最低でも一番近くまで4キロぐらい歩く地域が三、四カ所ありますので、その辺の交通体系の整備をお願いしたいところでございます。
 次に、生活道路の整備についてですが、これまでさまざまな要望があったと思いますが、今後総合的に支援のあり方について調査研究していかれるっていうことですが、できるだけ早い結論を出していただきまして、地域支援の方法を打ち出し示していただきたいと思いますので、よろしく御検討をお願いいたします。
 次に、4点目の営農活動への支援ですが、来年度から始まる品目横断的経営安全対策、この大きく変わった農業政策は、限界集落にとってはよくない方向に向かうのではないかと私は危惧をしております。中山間地域の農業は、ほとんどが兼業農家でありますし、年金農家がほとんどです。限界集落では、基盤整備もできていないところがほとんどで、農地を集約していくことは大変難しい状況です。
 また、集落営農についても、これまでのいろんないきさつの中から協定が難しいというふうに聞いております。たとえ農地の集約ができたとしても、限界集落で自分の農地を自分でつくらないとなれば、そこに住む必要がなくなるわけですから、集落にとっては大変な損失になる可能性があるということです。
 一つ明かりが見えることは、来年度から始まる農地・水・環境保全対策事業。大した補助金ではありませんが、せめてこれで食いとめられればと思いますので、これもなかなか協定が難しいようでございますが、できるだけ行政の手厚い支援で、この対策事業が受けられるように御支援をお願いいたします。
 それでは、最後に、スポーツ振興計画についてですが、これも要望にさせていただきたいと思います。
 壇上でも答弁がありましたが、スポーツ振興計画の必要性については、施策を実行していく上で具体的な方向性や指標などを明確にするため必要と認識し、計画の策定と審議会の設置を検討すると答弁されておりましたが、壇上で私が紹介いたしましたが、山口県スポーツ審議会からの要望について、その中身が2点ほどあるわけですが、その1点だけちょっと紹介をさせていただきます。
 その一つは、スポーツ振興審議会及びスポーツ振興計画についてで、人口10万人以上の市や国体開催会場についてはスポーツ振興についての協議会の設置とスポーツ振興計画の策定及びその計画に基づいた振興事業を推進していただきたいという内容でございました。
 御案内のように、2011年(平成23年)には、2回目の国体となる第66回山口国体が実施されます。この機会を逃したら、恐らくこのスポーツ振興計画は策定することがないだろうと思います。最低でも1年ぐらいかかるんではないかと思っておりますので、できるだけ早い設置に向けた御検討をお願いをいたしまして、すべての質問を終わります。ありがとうございました。

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